ぐてんぐてんに酔っ払ったヘイさんに手を焼くゴロさん

リクエスト@さとみね様





「まーったく、お主は…!!」

「あはは…米焼酎じゃ酔っ払いませんよおー!」

「お主の飲んでいたのは、米でなく、芋だ。気づかんか?」

「えへへー。私が米って言ったら、米なんですぅー」

「お馬鹿!」


ゴロベエは溜息を付いた。

素直に寝てくれればいいのに、ヘイハチは笑い上戸に絡み酒。おまけに脱ぐ。

シチロージやキクチヨに散々に遊ばれる前に連れ出してきたのだが、分散されていた絡みを

酒臭い息と共に一手に引き受ける結果となって、そのまま放置した方が良かったかと再度嘆息する。


「ゴロさ―ん、星が綺麗ですよォー」

「曇り空だが?」

「風が気持ちいいですねェー」

「無風で暑苦しい夜だ」

「虫の音が聞こえます…」

「これは蛙の大合唱ではないのか?」


ヘイハチを背負って、真面目に付き合いながらゴロベエは歩いた。

酒癖の悪いのは困る。

もっと言うと、愛しい相手が酒によって他に絡むのが、もっと困る。


「某も、大概か」

はあ、と息を付くと、ヘイハチが背中で笑った。

「ゴロさーん、大好きです」

「……そうか」

ふっと、ゴロベエは笑った。

このセリフ一つで、何でもしてやりたくなるのだから安いものだ。




「米の次に♪」

「…ヘイさん、次の介抱は無いぞ?良いな?」





END