ヘイハチが無意識に見せる色気


リクエスト@壱弐様





無意識と言うか何と言うか。

ヘイハチの寝顔を見ながら、ゴロベエは苦笑した。

先ほどまで、自分にはシチさんのような色気が出ないと散々言っていたと言うのに。

かっちりと着込んでいるおかげで紫外線に全く晒されない真っ白い肌が、寝間着の間から惜しげも無く月明かりを浴びている。

咽喉から胸にかけて肌蹴た肌は、誰でも思わず生唾を飲むほど美しい。

ヘイハチが起きた瞬間に、この美しさは途端に隠されてしまうから、彼がこのように寝ているうちにしか拝めない。


ゴロベエは、そっとその胸に触れた。

きめ細かいもち肌は触られるのを待っていたかのようにゴロベエの手に吸い付く。


「ゴロさん?」

ヘイハチが朦朧とした目で、こちらを見た。起こしてしまったかとゴロベエは苦笑する。

「おぬしは全く、綺麗な肌をしている。つい触りたくなってな」

「では、脱ぎますか?」

ヘイハチは上半身を起こし、よいせっともろ肌を脱いだ。

全く、色気が無い。こういうところが根本的にシチロージとは違うのだ。

「いや、脱がんでいい」

「はあ」

ヘイハチは再び着込み、ゴロベエの隣に横になった。

「触れたいといったり、脱ぐなといったり。よく解らぬお人だ」

「それが解らなかったら、ヘイさんお色気への道はまだまだだな」

「困りましたね…」

へへっとヘイハチはゴロベエの手を胸に当てた。

先程より少し上気した肌は、やっぱり極上の心地である。

ヘイハチは目を細めてうっとりとゴロベエの手に口付けた。


なんだ、こういう表情もできるのか。

健康で食道楽なヘイハチだから、ついつい考えもしなかったが。

適度に肌蹴た寝間着で、ゴロベエの手を弄ぶ。

目元は少し眠たく、ほんのり赤い。

この妖しいまでの色気は何だ。といっても、本人はまったく気が付いていない。

「ヘイさん、そんな顔をするのは某の前だけにしてくれよ」

「は?」

「いや、解らぬなら良い」

「…解らないのはゴロさんです」

ヘンな夜だなあ、とヘイハチは再びゴロベエの手に口付けた。




END